那須 茶臼岳・三本槍岳

那須 茶臼岳・三本槍岳

那須岳への単独行です。残雪をかかえた美しい山並みを期待。

那須湯元の温泉神社

那須湯元バス停前の無料駐車場に車をとめ、身支度をして出発。すぐそばにある温泉神社の鳥居をくぐり境内へ向かい登っていく。境内前で右へ曲がり高台に出ると史跡・殺生石を見下ろす。道標に従い明るい尾根を登っていく。ヤマツツジのつぼみは今にも咲きそうだ。歩きやすい道を別荘のわきを通り、車道を横断するなどしながら進んでいく。新緑が眩しいが高度を上げるにつれ冬枯れの景色となった。



飯盛温泉跡

石垣が積まれた温泉跡につく、飯盛温泉跡だ。硫黄臭が漂い辺りの石は黄色や緑がかっている。写真では分かりづらいが奥に小屋があった。谷筋に残雪が見られるようになる。斜度が緩やかでキックステップで対応できた。ルートを見失わないよう周囲に気を配り地図とコンパスを見ながら進む。雪の上には踏み跡がなくあまりなく、あまり使われないルートなのだろうか。

牛ヶ首


樹木の背丈が低くなり、やがて森が切れる所でもくもくと噴煙を上げる茶臼岳が目の前に現れる。風が強く噴煙が山肌をへばり付くように流れている。登山者が右奥から鉢巻き道を進んでいるのが見えた。荒涼とした荒々しい山だ。茶臼岳は活火山で今も活動中のため噴気口付近では長くとどまらないように、ということだ。南月山と茶臼岳の分岐点、牛ガ首に着く。

無限地獄

ここから茶臼岳の山頂へは西側をトラバースしていく。そのあたりは無限地獄と呼ばれおどろおどろしい色の噴気口から白い煙が休みなくわき上がっている。上部にある溶岩がせり出していて豪快だ。風が非常に強いためか熱気は感じなかったが硫黄臭がすごい。あたりは黄色や緑色の岩でまさに地獄といった感じか。


峰の茶屋跡

避難小屋茶臼岳と東岳の間のコルに着く。激しい風に驚く。スキップなどしたら簡単に飛ばされるだろう。ちょっと先に立派な避難小屋がある。身を低くして小屋にむかい二重扉の小屋に入る。先客が大勢いた。この避難小屋は宿泊禁止となっており風で飛ばされるなどして遭難した人のために使用されると聞いた。コーヒーを沸かして一休みしたが風は収まりそうもない。雨具を風よけ代わりにはおい茶臼岳山頂へ向かって出発した。

噴火口

ゴロゴロした石を積み上げたような山を登っていく。標識がなければ気づかないだろう外輪山を通過し火口の東側に出る。火口は写真のような小石を敷き詰めたような窪地であった。


強風

時計回りに火口の縁を歩いていくと鳥居があり、その奥に社があった。社は那須岳神社、ここが山頂である。風が強く誰もいなかった。ガスが晴れればさぞかし雄大な眺めであろうと想像して下ることにした。風に飛ばされないよう低い姿勢で来た道を戻る。避難小屋に着く頃はさらに強い風が吹いていた。まるで冬山のようだ。


手すり小屋の西側、三斗小屋温泉へ向かって谷を下降するのだが、吹き上げる風が激しくて前に進めないー。と思っていたら手すりがあった。これに掴まる。ありがたい。

避難小屋

谷の底までくるとさっきまでの風が嘘のように静かになった。谷底には避難小屋がある。こちらの方が多くの人が入れそうだ。山を見上げるとガスも晴れてきた。もうちょっと待っていればよかったな~。この辺りは冬枯れのダケカンバと残雪の対比がきれいだ。

冷たい雪解け水の流れる沢もいい音色をしている。もうすぐ訪れる新緑の頃はさぞかしと思う。


牛の道

三斗小屋温泉に続く道は広く平らで歩きやすい。その昔は牛が通ったと書いてあった。道の両脇にはダケカンバとササが生い茂っている。歩きやすい道は三斗小屋温泉まで続いた。

三斗小屋温泉

温泉の客はまだそれほど多くはいないようで静かであった。静かな山奥の秘湯はなかなか立派な建物であった。ここで泊まろうか先に進むか迷ったが、明日の行程を楽にしたいと考え大峠を目指すこととした。

ダケカンバの森

三斗小屋温泉から大峠まではササが濃いが道はしっかりとしており迷いそうな箇所はない。ガイドブックなどで指摘されている3カ所の渡渉も問題なかった。ただし大雨の後は難儀するだろう。斜面をよじ登るような場所も1つあるがしっかりした岩であり問題ない。しかし私は久しぶりの長時間歩行が影響したためか右足の付け根が痛くなってきた。歩む速度をゆるめて様子をみながら先を急ぐ。クマもいるというし。

大峠

日が山に隠れた頃に大峠に着いた。テントは3~4張り設営できるだろうか。平らないい峠だ。お地蔵様、高く積まれた石、道標がある。三本槍の方面に西日が当たり美しい。ここから歩いてきた谷を見下ろすとダケカンバの濃密な森が神秘的だ。広大で谷筋には多くの残雪を抱えている。

月夜

暗くなってきたので手早くテントを設営し夕食をとった。アルファ米にレトルトカレーだ。食後のコーヒーを入れてカップを持ちテントの外へ出てみた。月が昇っていた。とても静かだ。鹿ちゃん出てこないかな~と期待しつつテントに戻り寝袋に潜ると、ものの5分で寝てしまった。いつものことである。

ショウジョウバカマ


ヤマツツジ

スミレ

スミレ

三本槍岳へ

鳥のさえずりで目が覚めた。とても多くの鳴き声だ。種類が多いのだろう。鳥に起こされるのはとても気分がいい。空は快晴だ。朝食をとってテントを畳み出発する。気持ちのよい尾根を三本槍岳に向かって歩き出す。高所なためかササの背丈が低く、樹木も低いので見通しがよい尾根だ。今山行のハイライトであった。

春霞で遠くの山々がぼけて幻想的であった。大峠から三本槍岳をみるといくつもの山を越えていくように見える。三本槍とはまさにその様をとらえて名付けたのだろうかと思いたくなる。三本槍岳山頂の手前からはハイマツ帯となり高山の様相となる。

三本槍岳 山頂

山頂からの眺めは壮大だ。朝日岳、大倉山はもとより、遠くは真っ白く輝く燧ヶ岳が印象的であった。せっかく担いできたのだからと下手なスケッチを何枚か描き、写真を撮り、初夏の高山を満喫した。


清水平

下山は清水平から中の大倉尾根とした。清水平の辺りはハイマツやシャクナゲをはじめとする植物や野鳥がにぎやかなすてきな所だ。多くの登山者は茶臼~朝日岳~三本槍と歩くようであった。私はササで覆われたなだらかな中の大倉尾根をのんびりと下っていく。


砂利

尾根上の道はあきらかにオーバーユースで深くえぐられており痛々しい。所々に砂利が埋められていて地元の関係者の努力が窺えた。


ブナ林

ササ尾根はしだいにブナ林となる。多くのブナを抱えたいい林だ。削られてしまった登山道に露出しているブナの根は濃くて勢いがあった。ヒメシャラも見られた。

北温泉

しだいに硫黄臭が漂ってくる。眼下に大きな建物が見えたらそこが北温泉だ。プールのように大きな露天風呂が目を引く。ライダーが2人つかっていた。私もよほど入ろうかと思ったが、まだ1時間は歩かねばならないので断念した。


那須自然研究路

北温泉からは舗装された車道を歩く。とにかくここまでくれば一安心である。車道はつまらないので、途中から「那須自然研究路」に入る。

振り返ると茶臼岳がよく見えた。


殺生石

八幡温泉付近で再び車道に出て、しばらく歩くと殺生石への遊歩道入り口が現れる。これを見逃すとかなり遠回りを強いられることになるので気をつけていた。

史跡殺生石は観光客でにぎわっていた。湯気が立ちのぼり地獄のように見立てている。

ゴール

私はとなりの温泉神社へいき山行を無事に終えたことを感謝した。暑くて真夏のようであった。

Photo: NIKON COOLPIX4300

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